「1997年の改訂によって、日本では、溶出を揃えてバイオアベイラビリティも取らなくてはならないことになったのです。
非常に厳しい承認条件なのでメーカー側にも不満もあるとは思いますが、後発医薬品の先発品との同等性は、非常に高いる試験や先発品と同等であることを検証する試験(生物学的同等性試験)をさらに行っています。
難しくなりますが、生物学的同等性試験とは、健康な人に、先発医薬品とジェネリック医薬品をそれぞれ服用してもらい、薬の有効成分がどのくらいの速度で血液中に入るか、その量はどのくらい溶けるかなどを調べる検査のことです。
もっというなら、厚生労働省の審査には、先発品、後発品の区別はなく、どちらも「医薬品」として審査する。
品質の基準は、先発品、後発品の区別はないのです。
」簡単に補足しましょう。
カプセルや錠剤など経口剤は、患者さんに適量を処方しているのですから、完全に溶けて100%体内に吸収されることがベストです。
ところが、もともと胃液は酸性ですから、薬は胃液と同じ酸性で溶けるように作られていますが、人によっては酸性の度合いが違います。
日本人は、胃液の酸性度が極端に低い人が多いので、薬剤が胃液のPh(ペーハー)(小学校で青いリトマス試験紙が赤に変わる、ペーハー1から7までが酸性と習いましたね)で壊れ、吸収されにくいのです。
とくに、「年齢が高くなるほど無酸の人が増え、6割の人が無酸ということがわかった。
試験でも無酸の人に薬を投与すると、吸収率がほとんどゼロに近い場合がでた」(氏)とのことですから、お年寄りほど吸収率が悪く、薬の量を増やしてもなかなか効かなくなるわけです。
お若い方でも、胃酸の状態によっては効く人、効かない人が出て、個体差があるものなのです。
そこで、薬の効き目のばらつきを防ぐために、昔は胃酸の平均値をPh2として、糖衣錠(固形の薬をより飲みやすくするために甘味で表面を覆って腸に届いてから溶け出すように工夫された粒状の薬)が溶け出すように作られていた。
それを現在では、無酸の状態でも溶けるようにするため、溶出試験(溶媒に製剤を溶かし、主成分の溶け出す時間とその割合を測定する)を重視しはじめ、いまでは水にも溶けるかどうか、3種類のPhの液(胃酸の酸性の強さを3段階にしている)にも溶けるかどうかの試験を行います。
もちろん、溶けるだけでなく血液中の薬の濃度がどうなるかの試験をクリアにしてのことです。
溶出試験と血中濃度の二本立てチェックは、日本の厚生労働省だけが要求することで、諸外国はここまでやっていません。
そういう意味で、世界1の厳しい基準を義務付けたのですから、ジェネリック医薬品の質が非常によくなったのは言うまでもありません。
また、薬には「特有のクセ」があり、同じ成分が同じ量入っているから同じように効くという当たり前のことがなかなか難しいものなのです。
厳密に言うと、同じメーカーの同じ工場で作られた先発医薬品自体にも、釜が違うと効用にわずかの誤差が生じるものです。
「先発品のロットに差があれば、後発品が(品質を)揃えようと思ってもどこに揃えれば良いのですかと(後発品メーカーから)クレームがくる」(氏)という話もあり、そのばらつきを改善するのは専門家たちに任せるほかありません。
こうしてジェネリック医薬品は、新薬とまったく同じように、厚労省の厳しい指導のもと薬事法によってさまざまな規制を守って開発され、製造されているわけです。
これほど「ジェネリック医薬品の安全性」を説明しているのには理由があります。
薬が人間の命を守るために体内に直接入る物質であるため安全が不可欠であることはもちろんのこと、過去、旧厚生省が承認しているにもかかわらず品質が悪いものもあり、医者の間では「後発品はキレが悪い(溶けにくいなどの問題点がある)」というイメージをもった時代があったからです。
でもいまは、氏も指摘されるように、「再評価の終わったものは、(以前のジェネリック医薬品とは)違うものとみてもらいたい」というほど評価は高くなっています。
また、「品質再評価」という制度もあります。
先発品もジェネリック薬も、第三者が誰でもいつでも溶出試験を追試して、その品質が大丈夫かどうかを公表する制度です。
申請時に試験をしただけでなく、抜き打ちで追試する。
そこまで目を光らせて、クオリティーの高い品質を維持するわけです。
繰り返しますが、医薬品は品質が命です。
ジェネリック医薬品の開発には、品質の検証を重点的に行います。
先発品の製造方法があるのですから、それをそっくり真似ればいいのにと思うはずです。
ここは先発品メーカーも商売上、製剤の細かい技術までオープンにはしない。
でも、そのおかげで、後発品を作るときに先発品の欠点も洗いざらい調べるわけで、新薬のとき以上のものができるのです。
それを製剤工夫といいます。
ジェネリック医薬品は、先発品より患者さんにとって飲みやすい錠剤にしたり薬剤師が取り扱いやすい粉末にしたりと、工夫が施されている場合があります。
たとえば、薬の大きさ…錠剤を飲んでノドにつまらせたりいつまでも異物感があったりと、とくに子どもや高齢者には大きすぎて負担に感じることがあります。
先発品の大きさを研究し、飲みやすいサイズに小型化しているものがあります。
薬の味…市販薬でも、昔の風邪薬は苦かったのにいまは無味で飲みやすいものが出回っています。
「病院でもらう薬は苦いもの、良薬口に苦し」という考えは昔の話。
いまでは、中身は同じ効き目、同じ成分ですが、苦い薬を甘味の糖衣錠にしたりフィルムコーティングしたりと、味覚を刺激しないように工夫しています。
取り扱いやすさ…病院や調剤薬局では、何百何千という多種多様の薬を扱います。
そのためコンパクトに保管したい。
薬を小型化することはもちろんですが、ケースやシートもコンパクトにして、かさばらない工夫をしています。
小児用の工夫…ピーチ味やイチゴ味の薬、後味の悪さをなくした薬など、小さな子どもが嫌がらずに飲めるように改良しています。
「当社が発売する気管支拡張剤(小児用シロップ)『』は、ドライタイプで粒を水に混ぜて服用しますが、先発品はちょっと水になじみにくかったため、容器に付着してしまいました。
それを改良し、水に速やかに分散して容器や口にくっつかないよう飛散性も抑えましたから、調剤時に取り扱いやすくなりました」(S広報室)たとえば、他国からの輸入品の瓶詰めジャムやお菓子などを例にとると、「瓶のふたが開けにくい、締まりにくい」「子どもの口には大きすぎるアメ」など、商品の不都合さを経験したことがあるでしょう。
それに比べ、きめ細かい品質管理、品質改良の技術という観点からは、おそらく日本が世界1といってもいい。
ジェネリックメーカーも、後発する以上、先発品より製剤工夫をして付加価値をつけ、患者さんへの心配りや薬剤師への配慮をしているのです。
欧米では、特許切れの新薬は、その約7,8割がジェネリック医薬品に切り替わるといわれています。
ただ、アメリカでも、当初からジェネリック医薬品の普及率が高かったわけではありません。
Nの幹事・M氏はこう説明します。
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